目次
なかなか社員が育たない、離職者が多く慢性的な人手不足に悩んでいるなど、企業では人材に関する悩みが尽きないものです。
このような課題に直面し、頭を抱える人事担当者も少なくありません。効果的な人材育成を実現するためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
そこで、この記事では人材育成における課題や代表的な施策、実施する際のポイントについて解説します。
評価業務に時間がかかって困っていませんか?
HRMOSタレントマネジメントで大幅に評価業務の工数を削減!
そもそも人材育成とは?
そもそも、企業における人材育成とはどのようなものなのでしょうか。人材育成の意味や似ている言葉との違いを確認していきましょう。
人材育成とは
人材育成とは、主に企業が掲げるミッション・目標の達成、業績アップなど、経営に貢献する社員を育成することをいいます。中長期的に社員を定着させ、将来的には企業の中核を担う人材へと育成していくことが理想です。
人材開発や能力開発との違い
人材育成と似ている言葉に「人材開発」「能力開発」などがあります。これらは意味が混同されやすいですが、それぞれ異なる意味があります。
人材開発や能力開発は、社員が本来持っている能力や潜在力を引き出し、それを高めることを主な目的としています。人的資源を成長させるという意味合いでは、人材育成と大きな違いはありません。
一方で、人材育成は階層や部門といった「組織」を対象とする傾向があり、人材開発はポテンシャルや資質といった「個人」を対象とするケースが多くなります。
したがって、それぞれフォーカスする対象が異なります。
人材育成をする主な目的とは
そもそも、人材育成は何を目的に実施されるのでしょうか。ここでは、人材育成を実施する主な目的を紹介します。
組織の競争力強化と持続的成長
人材育成の主な目的は、社員の能力を引き出し、組織の成長を促すことにあります。社員の潜在的な能力を底上げし、それが企業に還元されれば、業績の向上につながります。企業の経営目標を達成させ、さらなる成長を遂げるために、人材育成は欠かせない要素なのです。
幹部候補を育成する
新人社員や若手社員の育成は、通常3カ月~1年程度の期間で計画されることが一般的です。一方、幹部や管理職候補の育成には、3~10年など長期的な期間が必要になります。
役員や幹部は企業に大きな影響を与える存在なため、幹部・管理職候補の育成は、将来の組織づくりにおいて極めて重要です。
<関連記事>
離職を防ぐ
人材育成は離職を防ぐ目的もあります。適切な人材育成を行い、成果が現れることで、社員にはより大きな業務や役割が任されるようになります。
これにより、社員は自分の職務に充実感と誇りを持ち、継続的な貢献へとつながります。また、成長を促す環境が整備されることは、社員の意欲向上に寄与し、結果として離職率を抑制するでしょう。
<関連記事>
生産性を向上させる
人材育成は各社員の能力を底上げする効果が期待できます。このような取り組みは、個々のスキル向上に加えて、チーム全体の連携強化にも貢献します。その結果、業務効率が向上し、生産性の向上にもつながるでしょう。
<関連記事>
組織の方向性やゴールを周知させる
組織として目指すゴールやミッションは、価値観や行動規範は企業運用の核となる部分です。人材育成を通じ、社員に会社の価値観や行動規範を共有し浸透させることで、社員は「自分に何ができるか」「企業は何を目指すべきか」といった視点を持ち、主体的に考える姿勢を養えるようになります。
<関連記事>
人材育成でよくある課題とは
人材育成の必要性や重要性はよく理解しているものの、「なぜかうまくいかない」と悩む企業も少なくありません。ここでは企業の人材育成でよくある課題を紹介します。
人材育成の時間と予算の制約
よくある課題の一つとして挙げられるのは「人材育成に充てる時間が足りない」ことです。人材育成担当者は他の業務を担っているケースも多く、他の業務で手一杯になってしまい、人材育成にまで手が回らないことがあります。
人材育成は、長期的な視点で見れば優先すべき業務であり、後回しにすべきではありません。担当者は人材育成の重要性をしっかりと理解し、時間が足りない場合は業務量を調整してもらうなどの工夫が必要といえます。
指導者側のスキルや自覚が不足
なかには指導者のスキルや自覚が不足しており、人材育成が進まないケースもみられます。人材育成の重要性の理解が不足していたり、正しい育成方法を把握していなかったりすると、人材は育っていきません。
新入社員のように育成される側にどれだけ意欲があっても、指導者に必要なスキルや自覚が欠けていれば、十分な成果は見込めません。
この場合は、人材育成担当者に指導者になるための研修を実施する、マニュアルを読み込ませるなど、育成に必要なスキルや自覚を身につけさせることが肝要です。
人材育成に注力しても評価につながらない
人材育成に取り組んでも、育成担当者が適切に評価されない点も課題です。人材育成は営業実績のように定量化しづらく、評価が難しい部分です。そのため、「どれだけ努力しても評価されない」と感じることで不信感が募り、結果として業務パフォーマンスの低下を招く恐れがあります。育成担当者の頑張りや成果をきちんと評価できる環境が整っているか、企業は評価制度の見直しや改善を行いましょう。
研修や座学が現場業務に応用できない
人材育成においてよくある課題が、「研修で学んだ内容が実務に結びつかない」ことです。特に、座学中心の研修は知識のインプットで終わってしまい、現場での実践につながらずに形骸化するケースも多く見られます。
また、育成後にその内容がどの程度業務に生かされているかを可視化できていない場合も多く、育成施策の効果検証が困難になります。
このような状況を防ぐためには、OJT(On-the-Job Training)と組み合わせた実践機会の提供や、ワークショップ型の体験型研修の導入が有効です。単発で終わらせず、業務に直結する形で継続的な育成の仕組みを整えることが求められます。
育成効果の測定ができていない
人材育成のもう一つの大きな課題は、「効果測定ができていないこと」です。
育成プログラムの実施後に「何ができるようになったか」「どのような行動変容があったか」といった観点で評価しなければ、施策の有効性は判断できません。効果測定は、定量的・定性的な両面から行う必要があります。
たとえば、売上や生産性といった企業視点の成果に加え、社員の満足度や自己効力感の向上といった個人視点も重要です。
育成前後のパフォーマンスの比較や、行動変容の追跡評価を取り入れることで、施策の質を高めるとともに、次の育成施策への改善にもつなげることができます。
システムを活用した企業の改善事例多数
・成果につながる1on1の実現
・評価業務を年間150時間削減
・人事の業務負担が3分の1以下に
・評価運用の工数を2週間分削減
au コマース&ライフ株式会社、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社など、どのような効果が得られたのか分かる事例を公開中
人材育成をするうえで大切になる考え方
人材育成に取り組む際、意識したい考え方があります。ここでは、その具体例を紹介します。
個人の強みと可能性を認識する
人材育成では、タレントマネジメントの考え方を取り入れ、個人の強みや可能性を把握したうえで支援する姿勢が重要です。
タレントマネジメントとは、社員のスキルや適性を可視化し、最適な配置や育成につなげるための仕組みを指します。
弱点の克服に注力するよりも、強みを伸ばすほうが本人の意欲や成果につながりやすく、組織の人的資本の強化にも寄与します。多様な人材が活躍する時代には、個別性を尊重した育成が不可欠です。
<関連記事>
【事例付き】タレントマネジメントとは?目的、システム導入や比較・活用方法
VUCA時代を意識する
VUCAとは「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をとって作られた言葉です。
一般的には未来や環境変化を予測しにくいことを指し、VUCA時代におけるビジネスでは、経営者やベテラン社員でもわからないことが多くなっています。
こうした環境変化が激しいなか、柔軟に対応できる組織をつくるためには、社員の主体性やチャレンジ精神を育むことが不可欠といえるでしょう。
そのためには、企業理念や価値観を社員に浸透させ、主体的に行動できる人材の育成を目指すことが求められます。
<関連記事>
VUCAとは? 意味と企業に求められる対応策を徹底解説
言動に一貫性を持たせる
人材育成をするうえで、重要になるのが一貫性のある言動を心がけることです。
もし人材育成担当者の言うことに一貫性がなかったり、口だけで行動が伴わなかったりすると、育成される側は不信感を抱きます。その結果、人材育成の効果が損なわれてしまう原因になるのです。
育成効果を高めるためにも、指導者自身が言動に一貫性を持つことが重要です。
部下や新入社員が相談できる環境をつくる
部下や新入社員が気軽に相談できる環境を整えることは、人材育成において非常に重要です。
なぜなら、相談を通じて解決できる悩みや課題は多く、相談しやすい環境がない場合、部下や新入社員は一人で問題を抱え込み、成長が阻害される可能性があるからです。
円滑な人材育成を進めるためには、相談しやすい環境づくりが不可欠です。
長期的な目線で人材育成に取り組む
人材育成をする際、注意したいのが「すぐに成果を求めない」ことです。
指導する側もされる側も人間であるため、人材育成は思うようにならないことも多々あります。
いくら綿密に計画を練ったとしても、人には相性があり、飲み込みが早い人もいれば、遅い人もいるでしょう。長所や短所も人によって異なるため、ときには育成がうまく進まなかったり、成長が停滞したりする可能性もあります。
このようなときに、短期的な視点で育成を行うと落ち込んだり途中で諦めたりする原因になり得ます。人材育成において焦りは禁物です。数カ月から数年といった長期的な視点で、着実な成長を見守る姿勢が求められます。
階層ごとに人材育成を行う
各階層に求められる能力が異なるため、人材育成は一括りにはできず、階層ごとに最適な方法で育成を行う必要があります。
例えば、新卒社員の指導と管理職の指導では、教える内容も姿勢も大きく異なるでしょう。したがって、人材育成を行う際には、まず対象となる社員の階層と役割を正確に把握することが重要です。
人材育成のための代表的な施策・手法を紹介
人材育成には、さまざまな施策や手法があります。
企業によって適した方法は異なるため、自社の課題や状況に応じて適切な手法を選択することが重要です。ここでは人材育成の際に用いられる、代表的な施策や手法を厳選して5つ紹介します。
OJT
OJT(On-the-Job Training)とは、実際の仕事を通じて必要な知識やスキル、態度などを身につけてもらう人材育成の手法です。
上司や先輩社員が指導役となり、日常業務を通して、計画的かつ継続的に指導を行います。
OFF-JT
OFF-JT(Off the Job Training)とは、実際の業務から離れて行われる研修や教育を指します。
OJTが職場での実践的な学びであるのに対し、OFF-JTは、集合研修、セミナー、eラーニング、通信教育など、職場とは別の場所や形式で行われるのが特徴です。
自己啓発
個人が自身の成長のために、主体的に知識やスキルを習得したり、能力を向上させたりする活動全般を指します。
会社や組織から指示されて行う研修やOJT(On-the-Job Training)とは異なり、個人の意思に基づいて「もっとこうなりたい」「この分野を深めたい」といった内発的な動機から行われるのが大きな特徴です。
集合研修
集合研修は、外部講師を招いて目的に沿った指導を行う人材育成方法をいいます。
OFF-JT(Off-the-Job Training)の一種であり、実際の業務から離れて行うため、体系的かつ集中的に知識やスキルを習得するのに適しています。
たとえば、新入社員向けに外部講師を招いてビジネスマナー研修を実施するケースが挙げられます。
eラーニング
eラーニングとは、インターネットを活用してオンラインで学習を進める人材育成手法です。
オンラインツールで、社員が好きな場所やタイミングで学習を行うことができます。システムを導入していつでも研修が受けられる環境づくり、研修履歴や結果の管理を行う企業も増えています。
1on1ミーティング
1on1ミーティングは、上司と部下が定期的に対話する人材育成の手法で、業務の進捗だけでなく悩みや目標を共有し、信頼関係の構築と自律的な成長を促すことを目的としています。
<関連記事>
ジョブローテーションとジョブ型雇用
ジョブローテーションは、異なる部署や職種を経験させることで視野を広げ、柔軟な思考や対応力を育む人材育成の手法です。
一方、ジョブ型雇用は、職務内容に応じて専門性の高い人材を配置し、スキル向上を促すことで成果と成長を両立させる育成手法です。
段階的導入の際や、職種ごとに異なるキャリアパスを描く場合、ジョブローテーションとジョブ型雇用を併用するケースも見られます。
<関連記事>
効果的な人材育成の実施手順
人材育成に取り組もうとしても、何から始めるべきか迷う企業も少なくありません。ここでは基本的な人材育成の実施手順を3ステップに分けて解説します。
ステップ1. 現状分析と目標設定
はじめに企業の現状を整理して、理想と現実のギャップを洗い出しましょう。その際、社員のスキルや経験を一覧で整理し、組織目標や課題も言語化します。企業の成長に必要な人材像を明確にすることが重要です。
求める人物像と求められるスキルを明確化できたら、それをふまえて人材育成の目標を立てます。このように、詳細にわたる現状分析にもとづいた目標設定が第一ステップとなります。
ステップ2. 適切な育成手法の選択
人材育成目標に沿って、育成手法を決定します。先に紹介したとおり、人材育成手法は多岐にわたるため、OJTとOFF-JTを目的に応じて使い分けながら、計画的に進める必要があります。
また、育成手法を選択する際は、メンタリングとコーチングの活用も重要です。メンタリングとは、メンターが教育を受けるメンティー(被育成者)に対して、1対1で支援する育成手法です。
人材育成を受けるメンティーの不安を取り除き、目標達成まで自走できるようにサポートする役割を持ちます。
一方、コーチングとは、クライアント(ここでは教育を受ける社員)が主体的に行動できるよう支援する手法を指します。
一方的なアドバイスを行うのではなく、傾聴や本質的な問いを通して社員本人が自ら考えて、動けるように導く役割となります。
<関連記事>
コーチングとは?スキルやロールプレイの事例、ティーチングとの違いを解説
ステップ3. 継続的なフォローアップと効果測定
人材育成はただ計画通りに実践するだけではなく、定量的・定性的な評価指標にもとづいて効果測定をすることがポイントとなります。
カリキュラムに沿って人材育成をした結果、実際にスキルは向上したか、企業の利益になっているかなど、多角的な観点から効果を測定しましょう。
数値化できる変化だけではなく、仕事への積極性や勤務態度、モチベーションの変化にも注目することが求められます。また、育成の結果を分析したあとは改善点を見出して、定期的な進捗確認に加えてフィードバックを行うことも重要です。
階層別の人材育成のポイント
人材育成は、社員の階層に応じて適切に実施することが重要です。どのような点を意識すればよいのか、ここでは階層別に人材育成をする際のポイントを解説します。
新入社員の育成方法
新入社員を育成する際は「基礎から教える」「価値観の違いを理解する」ことがポイントです。新入社員は業務経験がなく、新卒の場合は社会人の基礎もわかっていない状態です。
社会人としての「常識」が通用しない前提で、基礎の基礎から丁寧に教育するという姿勢を意識しましょう。
また、世代による価値観の違いを受け入れることが重要です。世代によって物事の考え方が異なるため違いを否定せず、理解しようとする姿勢を持つことが求められます。
中堅社員の育成方法
中堅社員の育成においては、管理職へのステップアップを見据え、マネジメント能力の強化と挑戦的な業務経験の提供が重要です。
リーダーとしての立場でありながら、自身で行動しがちな中堅社員には、チームとして成果を上げる能力を育成する必要があります。
そのため、部署異動やマネジメント研修の実施が有効でしょう。また、難易度の高い業務に挑戦させることで、自身の課題を認識させ、成長を促す機会を与えることも大切です。
管理職の育成方法
管理職は組織全体の能力に影響をおよぼすポジションだからこそ、しっかりと育成する必要があります。
ポイントは、サポート体制を充実させることです。管理職は部下の育成に時間を割く一方で、自身のスキルアップに取り組む余裕を持てないことも少なくありません。管理職が自分のために時間を使えるよう、企業はサポート体制を手厚くしましょう。
業務負担を軽減する取り組みや、多忙な中でも参加可能な育成プログラムの導入も有効です。
経営層の育成方法
経営人材には、冷静な判断力や分析力、前向きな思考、タフな精神力など、特有の資質やスキルが求められます。これらを明確にしたうえで、計画的に育成していくことが重要です。
特に後継者育成は企業の持続的成長に直結する重要課題であり、サクセッションプランと連動した育成施策が不可欠です。あわせて、タレントマネジメントを活用し、経営人材としての可能性を持つ人材を社内から見出す視点も求められます。
<関連記事>
サクセッションプランとは?後継者育成の事例やプランの作り方を解説
人材育成を成功させるためのコツ
人材育成を成功させるためにはコツがあります。ここでは、効果的な人材育成を行うためのコツを紹介します。
目標を明確にする
人材育成を成功させるためには、まず明確な目標を提示する必要があります。目標が定まっていなければ、育成される側はその学習に何の意味があるのかわからず、モチベーションを維持できません。
目的が不明確なままでは、育成を負担に感じたり、ネガティブに受け止められたりするリスクがあります。
目標を明確に提示することによって、教育の重要性を理解してもらうことができます。その結果、より真剣に学習に取り組めるようになり、成果が期待できます。
スキルやオンボーディング状況の可視化
人材育成を効果的に進めるためには、社員一人一人の保有スキルやオンボーディング状況を可視化しておくことが欠かせません。
特に中途入社者を即戦力化するには、入社初期にどこでつまずいているのかを早期に把握し、適切なサポートを行うことが重要です。
社員のスキル・経験やオンボーディング状況は、「HRMOSタレントマネジメント」で管理・可視化が可能になります。
スキルの見える化が進めば、「どのスキルを重点的に伸ばすべきか」「どのような人材が不足しているか」など、育成の方向性が明確になるメリットもあります。結果として、個人の成長と組織の生産性向上の両立にもつながっていくでしょう。
<関連記事>
現場で実践できる内容にする
人材育成の効果を引き出すには、現場で実際に実践できる内容にすることが重要です。
難しい説明をされても、指導された側はそれをすぐに現場で生かせるわけではありません。そこで、現場で実践しやすいタスクに落とし込むことを意識しましょう。
たとえば、「最先端のIT知識を身につける」「トークスキルを磨く」など、具体的で実行しやすいタスクが効果的です。
すると、指導される側も自分が何をすべきか、何を求められているのか明確に把握でき、行動に移せるようになります。
社員目線で人材育成を実践する
人材育成は社員目線で行うこともポイントです。企業の上層部目線で教育を行っても、なかなか理解や共感を得ることは難しいものです。
そのため、社員の目線を意識し、教育の目的をしっかりと伝えるようにしましょう。人材育成は社員の成長を支援する取り組みであると納得してもらうことが重要です。
成長を評価する文化を醸成する
人材育成を成功させるには、社員の成長を正しく評価し、前向きに支援する企業文化の醸成が不可欠です。
人によっては成果などの定量評価が学習のモチベーションにつながる一方で、努力やプロセスを認められることで意欲が高まる人もいます。
そのため、成果だけでなく努力やプロセスも評価する姿勢が求められます。
また、失敗を恐れず挑戦できる環境を整え、「学び続けることが当たり前」という文化を育てることも大切です。未来志向で行動を後押しする「フィードフォワード」などの手法を取り入れ、社員一人一人の成長を継続的に支援する仕組みを整えていきましょう。
<関連記事>
フィードフォワードとは? 意味・効果・フィードバックとの違いを解説
自社オリジナルのカリキュラムを考える
大手企業の実践例やトレンドの施策などを取り入れても、同様の成果を得られるとは限りません。なぜなら、企業によって在籍する社員の属性や抱えている課題、適した人材育成の方法もそれぞれ異なるためです。
したがって、既存のカリキュラムをそのまま流用するのではなく、自社の課題やニーズに応じたオリジナルな育成計画を立てることが重要です。まず自社が直面する課題を洗い出し、そこから適切な人材育成計画を考えていきましょう。
タレントマネジメントを活用した人材育成
効果的な人材育成のためには、社員一人一人のスキル状況を可視化し、客観的な数値にもとづく育成計画を立てることが重要です。ここでは、タレントマネジメントを用いた人材育成の具体的な方法について解説します。
<関連記事>
【事例付き】タレントマネジメントとは?目的、システム導入や比較・活用方法
人材データの活用による適材適所の配置
社員のスキルや経験、志向性といったデータをタレントマネジメントシステムで可視化・分析することで、各ポジションに最適な人材を配置できるようになります。
その結果、本人のパフォーマンスを最大化できるだけでなく、組織全体の生産性向上にも寄与します。
人材育成の文脈でも、適切な配置はスキルを磨く機会となり、成長を促進します。
キャリアパスの可視化と自律的成長の促進
タレントマネジメントシステムを活用することで、キャリアパスを明確にし、社員の自律的な成長を後押しすることが可能になります。
たとえば、「キャリアマップの作成と共有」により、将来の選択肢を具体的に示すことができます。キャリアパスが具体化されることで、今取り組むべきスキルや知識が明確になります。
ほかにも、「社内公募制度の導入」や「自己啓発支援制度の充実」によって、社員が主体的に学び、挑戦する文化の醸成につながります。これらは社員のエンゲージメント向上だけでなく、企業の持続的な競争力にも直結します。
<関連記事>
キャリアパスとは? キャリアプランとの違いやITエンジニアなど職種別具体例
組織全体の人材ポートフォリオ最適化
部門ごとのスキル構成や人材の分布を俯瞰的に把握し、全社的な視点でバランスよく人材を配置することも、タレントマネジメントの大きな役割です。
どの部門にどのような人材が足りないのか、将来的にどのスキルが必要になるのかといった課題を早期に察知し、戦略的な育成計画や採用計画につなげることが可能です。
タレントマネジメントシステムの活用によって、人的資本の可視化と最適化を図ることができ、経営と人事が連動し、より一貫性のある意思決定を行えるようになります。
人材育成の新潮流
最後に、これからの時代に適応するための人材育成のポイントについて解説します。
成長を加速する人材育成マネジメント
人材育成に取り組む際は、担当者の経験や感覚に頼る属人的な方法ではなく、客観的な情報をもとに計画を立て、実行していくマネジメント力が求められます。育成を担う上司によって方針や内容にばらつきがあると、中長期的な育成目標の達成は困難になるおそれがあります。
人材育成は、組織全体の生産性を向上させ、企業の競争力を高めるために欠かせない取り組みです。育成計画や目標の策定、育成プログラムの効果測定、フォローアップまで、一貫性をもって推進していきましょう。
テクノロジーと人をつなぐDX人材育成
デジタル技術を活用して業務改革や競争力強化を進める企業にとって、DX人材の育成は不可欠な課題となっています。AIやITを自在に使いこなし、組織の変革をリードできる人材は今後ますます求められるでしょう。
DXやIT人材不足が叫ばれるなか、育成を短期で完結させようとせず、実務に即したスモールステップを積み重ねる中長期的な取り組みが重要です。
また、タレントマネジメントシステムを活用すれば、DX人材のポテンシャルを持つ社員の早期発見や計画的な抜擢にもつなげられます。
<関連記事>
デジタルトランスフォーメーションとは?DX推進で企業・組織を改革する際の課題や企業事例などを解説
まとめ
人材育成は単なる研修や制度導入にとどまらず、個々の強みを引き出し、組織の力へとつなげる継続的な取り組みです。タレントマネジメントを活用することで、適材適所の配置や成長支援がより効果的に行えます。組織全体で育成に向き合い、「学び続ける文化」を築いていきましょう。
HRMOSタレントマネジメントで育成状況と成長を見える化しよう
HRMOSタレントマネジメントは、社員のスキル・経験・志向などの可視化にとどまらず、360度評価を活用したオンボーディング状況の把握にも対応しています。本人の自己評価と上司・同僚からの多面的な評価を比較することで、育成の進捗や課題を客観的に捉え、タイムリーなサポートが可能になるでしょう。
社員の自律的な成長を促し、組織全体の育成力を高めたい企業様は、ぜひ詳細をご覧ください。